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2009年9月号 城と城下町の歩き方 彦根城

城と城下町の歩き方
文:内田和浩
写真:宮地工

井伊家の居城と美しい城下町
彦根城

琵琶湖の東岸、鈴鹿山系に囲まれた湖東地方に位置する彦根は、井伊家35万石の城下町である。その居城である彦根城は、国宝の天守をはじめ、櫓、門、石垣、堀などの遺構が数多く残り、江戸時代初期の城の姿を知ることができる貴重な例だ。さらに、城を中心として計画された城下町も武家屋敷、寺、町家など江戸時代の面影を色濃くとどめている。日本の城や城下町の多くが、明治以降の城の取り壊し、戦災や都市化による町並みの激変によって往時の姿を失ったなかで、彦根城と彦根の城下町はとても稀有な存在なのだ。

慶長5年(1600)の関ケ原の戦いで武功があった井伊直政が石田三成の居城だった佐和山城に入り、その子の直継が佐和山西方の彦根山に築城したのが現在の彦根城である。当時、天下をうかがっていた徳川家康にとって、彦根は大阪の豊臣氏や西国の大名を抑える重要拠点であるため、もっとも信頼のおける家臣である井伊家を置き、家康の命令によって近隣の大名を動員して急ピッチで城が築かれた。その後、大坂の陣によって豊臣氏が滅ぶと、井伊家の格式にふさわしい町づくりが行われ、完成までに20年を要した。
つまり彦根城は、臨戦態勢下と平和な時代の2期にわたって築かれた城である。そのことをまず頭に入れて、彦根城に登ってゆこう。

(後略)

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