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2009年11月号 おひとり様は楽しい
Interview 平松洋子さん
おひとり様は楽しい
取材・文:佐道眞左
写真:松澤暁生
ひとり旅への憧れはあるものの、なかなか一歩を踏み出せない、という方もいらっしゃるようです。ひとり旅の経験豊富なエッセイスト・平松洋子さんに、ひとり旅の魅力と"おひとり様"を楽しむための心構えを伺いました。
ぷらっと気の向くままの心地よさ

旅はともかくぷらっと行くのが好きです。たとえば沖縄では、那覇から海岸べりを南下していくバスにずっと乗ったことが印象に残っています。ぼんやり終点まで行ったら、降りてお茶を飲んで小さい市場をぷらぷらっと見て道路を反対側に渡り、那覇行きのバスに乗ってぼーっと戻ってくる。「面白いものがありそうだな」という景色があったら「次降りようかな」と途中で降りる。絵に描いたように気の向くままの旅は爽快で、いまだに忘れられない心地よさがありました。
海辺でいくらでも本を読んでいられるとか、自分がいたいところに好きなだけいられる旅がいちばんです。たとえば香港ではひとりでトラムに乗ったのですが、「今日は天気もいいし、楽しかったし、もう1回乗ってみようかな」と2往復しました(笑)。そういうことがすごく楽しい。同行の相手に「ごめんね、もう1回乗ってもいい?」と断わらなくても乗れる、思うまま好き勝手ができるというのがひとりの良さです。
インドシナ半島はよく行きます。以前はベトナムあたりで器なども結構買っていましたが、だんだん「物を減らしたい」と思うようになって、4~5年くらい前からあまり買わなくなりました。最近はひとつと決めて、石を拾って帰るようにしています。持って帰った石は、ペーパーウェイトにも使えるし、ただそこに転がしておくだけでもいい。石は奥が深くて、ぎゅっとそこに何かがひとつ完結しているから、写真がなくても、いろいろお土産を買わなくても、「石でいいんじゃない?」と思っています。
(後略)
ひらまつ ようこ●エッセイスト
料理や食、生活文化などをテーマに広く執筆。著書に『ひとりひとりの味』(理論社)、『おんなのひとりごはん』(筑摩書房)など。『買えない味』(筑摩書房)でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。新著に『焼き餃子と名画座』(アスペクト)がある。
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表紙写真:
伊根の舟屋(京都府)
(小澤忠恭)





