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2009年12月号 激走!!関東ぐるり130円列車旅

1日で走行距離660キロ・走行時間18時間!
激走!!関東ぐるり130円列車旅
文・写真:杉﨑行恭

関東、新潟、大阪、福岡のJR近郊区間に適用される「運賃計算の特例」。このルールを守れば、最短経路の運賃で区間内を周遊できることをご存知だろうか。’09年春に関東は区間が拡大、北は福島県のいわき、南は房総半島全域が適用となり、ぐるりまわれば四国に匹敵する広さ!そこで最低運賃130円で可能な大回りで、関東を1周する過酷な日帰り列車旅に挑戦した。

夜明けとともに房総半島を駆け抜ける

 

午前4時、始発前の東京駅はもう目覚めていた。券売機で最低運賃区間130円を買う。「俺は今日の東京駅最初の客で、しかも最低の客ではないか」と思う。切符には0412(4時12分)という時刻も印字されている。普段はごったがえす東京駅構内を歩くが、人っ子ひとりいないコンコースはSF映画のようだ。

(中略)

いつしか夜は明け、朝霧のなかを進んでいく。木漏れ日の朝日が美しい。途中で拾い集めた高校生たちを館山駅で吐き出した電車は、いよいよ関東最南端の千倉駅に向かって走る。シュロの木が目立つ緑豊かな農村風景が南国を思わせる。
そして午前8時24分、ついに千倉駅に到達した。北緯34度58分36秒、「ワレ最南端ヲ制覇セリ」。嫁に携帯メールを打ち、缶コーヒーで祝杯をあげる。
ところで、ささやかな問題が生じた。腹が減ったのである。ここまで、改札内で調達できるのが自販機の飲み物だけだった。そんななか、きらめく太平洋が車窓から見えた。列車はついに外房に出た。
8時51分安房鴨川駅着。改札の先には海辺の町、鴨川とキヨスクがある。「外房の海の幸があっちにはある、いいな~」。しかし130円旅の掟で、一歩たりとも改札外に出てはならないのだ。観念して待つこと48分、外房線を走る安房鴨川始発の特急わかしお10号に乗った。特急だけど勝浦までは普通列車扱いなので乗車できるのだ。シートを目一杯リクライニングさせる。通勤用電車のイスと比べるともう極楽である。

(後略)

杉崎 行恭

すぎざき ゆきやす●1954年兵庫県生まれ。フォトライター。全国をくまなく旅しながら、撮影と執筆の日々。JTB時刻表にて毎月、連載「駅旅本線」掲載中。近著は『日本の鉄道車窓絶景100選』(共著・新潮新書)

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