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2009年12月号 ノジュールカルチャーカレッジ

短期集中誌上講座
ノジュールカルチャーカレッジ

鉄道風景写真を撮る 2(全3回)

鉄道と風景の合わせ方や、簡単ですぐに使える構図法をご紹介した前号に続き、より実践的に使える目からウロコのテクニックを教えていただきます。鉄道の世界ならではの「旅情」を感じる写真にぜひ挑戦してください。

車両のない鉄道風景写真

前回の講座では日本の美しい風景と列車を合わせた鉄道風景写真について語りましたが、もう1歩話を進めれば、僕は鉄道の車両が写っている写真だけが鉄道写真ではないと考えています。例えば線路だけでも、駅舎だけでも、鉄道の旅で出会った人でも、鉄道に関わるすべてのものが、鉄道写真の魅力的な被写体になりうるのです。そしてそんな撮り方が許されるのも、鉄道そのものが不思議な魅力を持っているからなのです。
例えば風景を撮影するとき、画面の中に舗装道路やガードレールが写り込んでいたら、撮り手はそれを画面から外そうと躍起になるはずです。しかしその風景の中をローカル線の線路が伸びていたら、画面に入れて撮影したくなる人も多いのではないでしょうか。道路も線路も同じ人工物なのに、その違いは何なのでしょう? 僕はその違いこそが、「旅情」ではないかと考えています。まるでDNAに書きこまれているかのように、日本人は線路を見ると「旅情」や「郷愁」といった不思議な魅力を感じます。その目には見えない「旅情」といったものを被写体にして撮影するのも、鉄道風景写真の醍醐味のひとつなのです。

(中略)

昔から「風景写真の構図は引き算」と言われるという話を前回しましたが、「旅情」を表現するために不必要なら、車両までもカットしてしまうという究極の引き算なのです。
カレンダーのような鉄道風景写真と違い、「旅情」は人それぞれ感じ方が違うものなので、これが正解という明確な答えはありません。それだけに見る人が鉄道写真であることがわかるように、線路や改札などを入れるように心がけましょう。どの風景をどう切り撮るかは、自分の感覚しだいです。みなさんもこの目には見えない「旅情」を被写体に、自分がいいなぁと思う鉄道風景を切りとってみてはいかがでしょうか?

(後略)

中井精也先生

なかい せいや●1967年東京生まれ。鉄道の車両を撮ったものだけが鉄道写真ではないというスタンスで、線路や、ホーム、乗客など、鉄道にかかわるすべてのものを被写体にして臨場感のある鉄道写真をライフワークに、写真だけでなく講演やテレビ出演など幅広く活躍している。毎日1枚必ず鉄道写真を撮影するブログ「1日1鉄!」を連載中。JPS会員、日本鉄道写真作家協会(JRPS)事務局長。

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