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2010年2月号 ノジュールカルチャーカレッジ

短期集中誌上講座
ノジュールカルチャーカレッジ

近世の城を歩く 1(全3回)

今号から新たな誌上講座を開講します。テーマは「城の見方」。漠然と城を歩くよりも、何に注目すると良いかを知っていれば、城探訪が数倍楽しくなります。城郭研究家である中井均氏を講師に招き、3回に渡って城の見方のポイントをご紹介します。

そもそも城の役割は?

日本では南北朝時代から江戸時代にかけて3~4万にものぼる城や館が構えられました。その99%は中世の城であり、日本の中世は大築城時代であったといえます。
ところで私たちの持つ城のイメージは姫路城(兵庫県姫路市)のように高い石垣のうえに白亜の天守がそびえるというものではないでしょうか。こうした姿の城は天正4年(1576)、織田信長によって築かれた安土(あづち)城(滋賀県安土町)が最初で、それ以後の城を近世城郭と呼んでいます。最近の歴史ブームによって城を訪ねる人が随分増えてきました。せっかく訪ねるならば城の見方、歩き方のコツを知れば、城歩きがもっと面白くなるはずです。ここでは近世の城の見方、歩き方の基本をお教えしたいと思います。

(中略)

軍事要塞を「縄張り」から紐解く

近世の城は石垣や堀などの土木施設と、天守や櫓などの建物から構成され、それぞれ土木を普請(ふしん)、建物を作事(さくじ)と呼びます。実は、城の生命線は作事ではなく普請にあります。城はこうした普請の状況を見ると一段と面白くなります。普請の基本となるのが城の平面構造、つまり縄張りです。城は自然地形をうまく利用しながら防御施設としているので2つとして同じ縄張りはありません。ただ基本形となる構造があります。近世城郭では輪郭(りんかく)式、梯郭(ていかく)式、連郭(れんかく)式などに大別されます。
それでは、それぞれの縄張りについて江戸幕府が各藩に命じて製作させた正保城絵図によって見ていくことにしましょう。
輪郭式とは漢字の「回」の字に似た構造で、本丸、二の丸、三の丸が本丸を中心として同心円状に構えられたものです。出羽国米沢城(山形県米沢市)はその典型的な例。この縄張りは四方に対して等しく防御が厚くなるものの、中の曲輪を外の曲輪が囲い込むという構造は城郭の規模を巨大なものとしました。
梯郭式とは河川や湖沼を背にして築かれた構造で、軍学では「後堅固(うしろけんご)の城」と称するもので、豊後(ぶんご)府内城(大分県大分市)がその代表例です。背面に兵を配置する必要がなく、正面のみに兵を配置すればよいという利点があります。

(後略)

中井 均先生

なかい ひとし●1955年生まれ。米原市教育委員会退職後、城郭研究、執筆活動に専念。現在はNPO法人 城郭遺産による街づくり協議会理事長、同志社大学、龍谷大学非常勤講師。主な著書に「近江の城─城が語る湖国の戦国史─」(サンライズ出版)、「城郭探検倶楽部─お城の新しい見方・歩き方ガイド─」(共著/新人物往来者)、「カラー版徹底図解 日本の城」(新星出版)など

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