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2010年5月号 今が読みどき!
今が読みどき!
文:北吉洋一
写真:中野昭夫
谷崎、澁澤、三島…
博学が誘う文学の迷宮

『綺想礼讃』 松山俊太郎
国書刊行会/A5判/548ページ/6930円 2010年1月発行
まずは著者松山俊太郎の紹介。
「東大印哲を卒え、梵語の権威、学会長老の論文を代筆して生活するとも、浅草ストリッパーが経済的に援助しているともいう」( 野坂昭如(のさかあきゆき)による)。また、「東京でいちばん辛いインド・カレー店の大辛をまた倍々にさせて、それを平らげてから急性中耳炎になった奇特な男」(種村季弘(たねむらすえひろ)による)。
まあ、これは若き日の横顔ではあるが、桁はずれの怪(快)人物に違いない。本業は蓮の研究というが、その本業が成就するのはいつとは知れず、齢80にして初の文学論集を上梓した。それが本書である。
ここで取り上げられた綺想の作家は谷崎潤一郎、小栗虫太郎(おぐりむしたろう)、稲垣足穂(いながきたるほ)、江戸川乱歩、澁澤龍彦(しぶさわたつひこ)などなど。いずれも一筋縄では捉えきれない異端作家ばかり。著者はその綺想を丁寧に解きほぐし、さらに新たな迷宮に読者を誘ってゆく。綺想とは現実ではない現実を追い求める心であり、精神の運動能力を必要とする。読書欲を誘発する一冊である。
(後略)
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表紙写真:
夕暮れの関宿(三重県亀山市)
(宮地工)





