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2010年5月号 生老病死の養生法

自分でできる生老病死の養生法 7 帯津良一
ツボを刺激して健康回復
取材・構成・文:原 章
写真:松澤暁生

中国では"気"は生命の根源物質と捉とらえられてきました。その"気"が流れる通り道が「経絡(けいらく)」で、経絡の上にあって「気の出入り口」とされるのが「ツボ」です。

"気"は中国医学の基本

みなさんもご承知のように、中国医学の基本概念は"気"です。医学にかぎらず、たとえば『荘子』に、「人の生や、気の聚(あつ)まれるなり。聚まれば則ち生と為(な)り、散ずれば則ち死と為る」(『荘子』外篇、知北遊篇、岩波文庫)とあるように、中国では"気"は生命の根源物質と捉えられてきました。
日本には「病は気から」ということわざがあります。この場合の"気"は「気持ち」、「心の持ちよう」など、主に精神的な意味合いですが、中国の"気"はもっと物質的に捉(とら)えられています。
中国医学はそのような"気"の存在を前提としていて、"気"が体内を過不足なく円滑にめぐっている状態を健康とし、過不足が生じたり、流れが滞ったりした場合を病気と考えるのです。漢方、鍼灸(しんきゅう)、気功などは、病気になったときに気が過不足なく円滑にめぐる状態に回復させる、あるいは健康なときはそれを維持していくことを目的として行われます。ですから、病気を特定の臓器の故障と見なす西洋医学とは、病気の捉え方も治療法も異なるわけです。

経絡とツボ

からだの中で"気"が流れる通路を「経絡(けいらく)」と言います。「経絡」は「経脈」と「絡脈」の総称で、「経脈」は縦に走る幹線道路、「絡脈」は横に走る支線道路のようなものです。経脈は、肺経、大腸経、胃経、脾経、心経、小腸経、膀胱経、腎経、心包経、三焦経、胆経、肝経の12あります。これらはからだの各器官と連絡していますが、必ずしも現在の解剖学的な臓器の名前に対応しているわけではありません。たとえば胃経は、胃だけではなく、広く胃腸のことを指しています。いずれにしても、経絡がからだの中を縦横に走っているおかげで気が全身をめぐり、生命が維持できていると考えられています。
この経絡の上にあって「気の出入り口」とされるのが「経穴(けいけつ)」すなわち「ツボ」です。鍼灸や指圧によってツボを刺激することで生命場のエネルギーを高め、気が多すぎたり不足していたり、あるいは停滞しているのをもとの状態にもどすのが、これらの治療法の目的です。

(後略)

帯津良一

おびつ りょういち●医学博士。1936年埼玉県生まれ。東京大学医学部卒。都立駒込病院外科医長などを経て、82年帯津三敬病院を開設、現在は名誉院長。日本ホリスティック医学協会会長、日本ホメオパシー医学会理事長。本誌連載をまとめた『養生という生き方』(JTBパブリッシング)ほか、『健康問答』(五木寛之氏と共著、平凡社)『達者でポックリ。』(東洋経済新聞社)など著書多数。
帯津三敬病院
埼玉県川越市大字大中居545
http://www.obitsusankei.or.jp/

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