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2010年6月号 中央本線ワイン旅

いま国産が楽しい!
注目の2大産地・甲州〜信州へ

中央本線ワイン旅
写真・文:森枝卓士

評価上昇中の"国産ワイン"。ワイナリーであれこれ試飲したり、旬の味覚と合わせてみるのも、産地を訪ねればこその味わい方。休日のブランチにでも楽しみたいような清々しい「甲州」の白から、フルボディの「メルロー」まで、嬉しい驚きに満ちた一本を求めて、甲州から信州へ列車に揺られてワイン旅…。

価値観を変えた白ワイン

サンフランシスコの市街から車で小一時間も北に走れば、ブドウ畑が連なる一帯にたどり着く。ナパバレーなどのカリフォルニアワインの産地である。オーストラリアのメルボルンやアデレードなどでも、近郊に同じような情景が広がる。
素晴らしいワインが身近にある幸せ。今年はこのような気候だったから、こういうワインが出来たのかと、気候や暮らしの実感とワインが重なる楽しさ。
いくら、世界中のワインが輸入されているとはいえ、日本では望めない楽しみもある。そう、思っていたのだが、気がつけば、それが身近な楽しみとして、現実のものとなっていた。それも、首都圏の人間には日常の足である、中央線から少し足を延ばしただけで……。
先ずは勝沼。以前からブドウの産地としては名高いところではあるし、国産ワインの産地としても認識はされていると思う。
それにしても、海外の有名産地と比べるべくもない。そう思っておられる読者が多いのではあるまいか。いや、かく言う私自身、そうだったのだ。20年近く前だったか、国産のワインを集めて、試飲したことがあった。頑張っているなあとは思ったが、あえて買ってまで飲もうというレベルのものは少なかった。思い出のために買う観光土産のレベル。
ところが、気がつけば、国産ワインは劇的な変化を遂げていた。関係者が血のにじむような努力をしたということなのだろうが。「そんな馬鹿な」と思われる向きは、とりあえず、たとえば、ルバイヤートブランドで知られる、丸藤葡萄酒を訪ねてもらいたい。その名の起源を示す展示物やら、すでに歴史となっていることを実感させられるセラー(貯蔵庫)等々を歩き、試飲をさせてもらえば、日本のワインがどのようなレベルに到達しているのか、理解していただけるはずだ。
あるいは、勝沼醸造を訪ねるのも良い。外観からは、ワインではなくて、日本酒の蔵元かと思われるような、その風情も楽しいし、何よりも、そのワイン。
勝沼では何と言っても「甲州」という品種の白ワインが面白い。元々は生食用のブドウであったが、これで作られたワインで、私は自分の偏見、愚かさを自覚したのだった。

(後略)

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