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2010年3月号 花咲く季節の和菓子物語

花咲く季節の和菓子物語
取材・文:吉田佳代
写真:田渕睦深
取材協力:虎屋、静岡県松崎町観光課、桜葉漬け元(株)小泉商店、墨田区郷土文化資料館
参考文献:日本一の団子(本多由紀子編・小学館)、和菓子歳時記(中山圭子著・婦人画報社)、和菓子(美の壷製作班編・NHK出版)

江戸時代の人たちは、花見弁当と酒に舌鼓を打ちつつ、茶店や屋台で団子や桜餅を楽しみました。「花より団子」の風潮の芽生えともいわれた、日本人にゆかりのお花見菓子を訪ねます。

香りで、味で春を運ぶ桜餅
資料提供:虎屋文庫

桜にちなんだ和菓子の代表といえば桜餅、日本人の心の花ともいうべき季節菓子です。関東風と関西風の違いを探りました。

桜にちなんだ和菓子は数あれど、やはり、香りと季節感を存分に楽しめる人気者といえば、3~4月の季節菓子である桜餅だろう。関東では、小麦粉を使った生地で餡を包むのに対し、関西では道明寺の生地が使われる。どちらも塩漬けの桜の葉で包むのがお決まりで、ほのかに漂う香りが春を思わせる。

ひらめきから生まれた江戸風桜餅

桜餅が最初に作られたのは江戸時代中頃、向島の長命寺(ちょうめいじ)だといわれている。当時、徳川吉宗公の「公園政策」により、「隅田川岸は景色が寂しい」とたくさんの桜の木が植えられた。この界隈が花見の名所となったルーツである。
長命寺の寺男であった山本新六は、向島堤に咲き乱れていた桜の落葉掃除に悩まされていたが、これらが何かに利用できないかと思案。ある時、餡を薄い餅皮で包み、桜の葉の塩漬けを巻いてみてはどうかとひらめいて、作ってみたのが始まりだったという。

(後略)

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