ノジュール11月号
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島根県の代表的な観光スポットのひとつ、宍しん道じ湖。雄大な湖は四季折々に表情を変え、特に日が沈む瞬間の風景は絶景だ。多くの人々がカメラを構え、その瞬間を収めようと集まってくる。毎日見ている地元の人でさえ、この時間はつい足を止めてしまうほど、宍道湖の夕景は見飽きることがない。 そしてその宍道湖畔には、いくつかの魅力的な窯元が点在している。元々出雲地方は、この地域を治めていた松江藩藩主が延宝5年(1677)、萩焼の陶工を招いたことをきっかけに、やきものづくりが盛んになったといわれている。藩主松平不ふ昧まい公が茶人だったこともあり、茶道具を中心に作られていたようだ。その後、民藝運動によって柳やなぎ宗よし悦むね、河井寛次郎、バーナード・リーチらが訪れ、指導したことから、普段の生活に使われる日常的な陶器が作られるようになった。今回は、その民藝の流れを汲んだ、現代の暮らしにも馴染みやすい器が見つかる、3つの窯元を訪ねた。 まず最初に訪問したのは、その中でも比較的新しい窯元、出しゅっ西さい窯である。ヤマタノオロチ伝説ともゆかりがある斐ひ伊い川かわ流域にあり、辺り一面に広がる田園風景の中に、美しい赤瓦の建物が見えてくる。広い敷地内には、工房と展示販売スペース「無む自じ性しょう館かん」がある。工房は誰でも気軽に見学することができ、10人くらいの陶工が、黙々と作業を行っていた。若者からベテランまで様々な世代が一緒に制作しており、分業ではなくそれぞれがすべての行程をひと通り行えるようにしているという。工房の奥には、レンガを積み重ねた六房ある登り窯があり、年に3、4回は窯焚きを行う。うまくタイミングが合えば、窯焚きの現場を見学することも可能だ。さらに道路を渡った反対側には原料の粘土を精製する場がある。地元で採掘した土を使い、原料作りからすべて自分たちで制作している窯元は、今で原料作りから行う手仕事民藝の流れを汲む窯元へしゅっさいがま☎0853-72-0239島根県出雲市斐川町出西33689時30分~18時 火曜(祝日の場合は営業)JR山陰本線出雲市駅から車で15分71nodule 2012 November昭和22年、地元の5人の青年が、同じ志を持って立ち上げた窯元。民藝の教えに導かれ、柳宗悦、河井寛次郎、バーナード・リーチ等から直接指導を受ける。暮らしに寄り添う、健康的で美しい器作りに勤しむ。すっきりとシンプルで、和洋どちらにも使いやすい出西窯1.無自性館は吹き抜けの2階建て。びっしり並んだ器を前に悩ましい時間を過ごす 2.3.工房は気さくな雰囲気。作り手と会話を交わすのも楽しい 4.砂糖壺と飯碗。小ぶりで使い勝手が良い1234

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