ノジュール11月号
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しばらくぶりのひとり旅。行く先は尾道です。こぢんまりした町だから、無理せず歩き回れそう。それでいて女ひとりで散策しても、場違いではなさそうで。言うまでもなく大林宣彦監督の数々の映画の舞台となった町。『転校生』と『さびしんぼう』を繰り返し見た私、その世界への憧れもある。 ひとり旅の列車では、本を膝の上に載せておきます。「読むものもありますので、どうぞ私にお構いなく」の意思表示になるのではと。福山で乗り継いだ在来線。本からふと目を上げれば、向かいの島の造船所のクレーンがすぐそばに。川のように狭い海なのです。 到着はお昼どき。名物の尾道焼きを食べに人気店「いわべぇ」の暖簾をくぐる。カウンターのほぼ全面が鉄板。限りなく薄く延ばした生地に、千切りキャベツが惜しげもなく盛り上げられる。蒸し焼きされたキャベツのとろみ、甘辛酸っぱいソースの焦げた香ばしさ。腹ごしらえをすませたら、観光客の常道、ロープウェイで千光寺へ登ります。朱塗りの本堂を拝んで振り向くと、海までの間の斜面に瓦屋根の家々がぎっしりと。しがなおやきゅうきょ(おのみちぶんがくのやかた)☎0848-22-4102尾道市東土堂町8-289~17時(4~10月は~18時)※受付は閉館の30分前まで12~2月の火曜入館300円(志賀直哉旧居・文学記念室・中村憲吉旧居の3館共通)JR尾道駅から徒歩15分☎0848-37-2325尾道市十四日元町1-2311時30分~15時、17~20時(19時30分L.O.)木曜(祝日の場合は営業)JR尾道駅からおのみちバス本線東行きなどで3分、長江口下車、徒歩3分。せんこうじ ☎0848-23-2310尾道市東土堂町15-1境内は終日、各御堂は9~17時 無休 拝観志納千光寺山ロープウェイ山頂駅から徒歩10分千光寺志賀直哉旧居(おのみち文学の館)いわべぇ19nodule 2012 November舞台造りの本堂からは、向島まで一望のもと代表作『暗夜行路』の草案もここで練られたといわれている千光寺公園の頂上展望台前にてひと休み1.砂ズリとイカ天入りが尾道焼きの定番 2.店主ご夫妻のヘラさばきにみとれる文学・映画の世界に憧れて……その舞台へ坂道には猫が多い。ひとり旅の案内「人」21

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