50代からの旅と暮らし発見マガジン

いつまでも元気に旅しよう!病に勝つカラダ 第16回

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筋トレで「ロコモ」予防

田中喜代次先生
(文:大政智子 イラスト:安齋 肇)

筋肉や骨は加齢とともに弱っていきます。
足腰が弱り運動機能が低下すると、介護のリスクが高い、ロコモティブシンドロームに陥ります。
今月はロコモ予防に役立つ筋トレをご紹介します。

加齢による筋力低下でロコモ予備軍に筋肉は運動しないでいると、加齢とともに減少していきます。

新生児の上腕二頭筋の筋線維数(筋肉を構成する細胞)が50万個あるのに対し、80歳では30万個。40%も減少していることになります。

さらに、15〜80歳の男性43名の筋肉の状態を調査した研究報告では、筋線維数は20〜30歳頃がピークで、その後1年に約1%ずつ減少していたそうです。

歳をとって腰が曲がってくるのは、骨粗しょう症で背骨が崩れていることもありますが、加齢とともに筋肉が減って自分の体を支えられなくなり、前屈みの姿勢をとりがちになることも関係しています。

このように、加齢や運動不足などで骨や関節、筋肉など運動器の機能が低下した状態を「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」と呼びます。

ロコモが進行すると転倒や骨折をしやすくなり、介護が必要になるリスクが高くなります。いつまでも元気で過ごすためには、運動器の機能低下をいかにして防ぐかがとても重要。つまり、ロコモ予防はそのまま健康長寿につながることになります。次の項目はロコモの予兆。当てはまる場合は要注意です。

  • 片足立ちで靴下が履けない
  • 家の中でつまずいたり、滑りやすい
  • 階段を上がるのに手すりが必要
  • 重いものを持つことが困難
  • 買い物などで2kg程度の荷物を持ち帰るのが難しい
  • 15分くらい続けて歩けない
  • 横断歩道を青信号で渡りきれない

これらに当てはまった場合、そのまま何もせずに過ごすと、運動器の機能がさらに低下してロコモへとどんどん進んでしまいます。骨や筋肉を効率よく鍛える筋トレを行い、運動器の機能低下を防ぎましょう。

筋トレと聞くとスポーツジムなどで行う、重い負荷をかけるハードな運動を想像するかもしれませんが、ロコモ予防の場合は、自分の体重を利用した、負荷の軽い、自宅で誰でも簡単にできる筋トレで、骨や筋肉は十分です。

そのやり方について、運動の専門家である田中喜代次(きよじ)先生に伺いました。

下半身とバランス感覚を
一緒に鍛える
ロコモ予防のための筋トレは、適度な刺激を与えるだけでかまいません。自分の体重を利用したゆっくりとした動きで、筋肉は十分鍛えられます。

効率よく筋肉をつけるためには、一つひとつの動作をゆっくりと時間をかけて行いましょう。速く動くと、かかる負荷が軽くなるので筋トレとしては不十分です。ロコモ予防に効果的な3つの筋トレを紹介しましょう。

毎日行うと効果的です。最初はいちばん少ない秒数(回数)から始め、慣れたら少しずつ増やしていきましょう。

片足立ち

  1. 腰に手を当てて、安定した姿勢で立つ。
  2. 右足で体を支えながら、左足をゆっくりと床から10〜15㎝上げ、10〜60秒数える。反対側も同様に行う。

もも上げ

  1. 腹筋を意識して、安定した姿勢で立つ。
  2. 右足で体を支えながら、左膝をゆっくりと引き上げ(太ももが床と平行になるくらいまで)、1.の姿勢に戻る。
  3. 左右交互に5〜10回を1〜2セット行う。

スクワット

  1. 両足を肩幅に開き、下腹部を意識して安定した姿勢で立つ。
  2. お尻と太ももの後ろの筋肉を意識しながら、ゆっくりと腰を落とす。腰を落とす目安はイスの座面の高さ。わかりにくい場合は、イスの前で行い、座るギリギリまで腰を落とす。
  3. ゆっくりと1.の姿勢に戻る。5〜8回行う。

どれも、呼吸しながらゆっくりと行います。ふらつく場合は壁やイスに手をつき、転倒しないよう気をつけましょう。負荷を高めたい場合、もも上げではももを上げている時間を、スクワットでは腰をかがめている時間を長くします。例えば3秒長くしただけでも負荷が高くなります。毎日行えば筋肉は少しずつ強くなっていきます。

たなかきよじ●1983年、筑波大学大学院博士課程体育科学研究科修了後、筑波大学体育系教授(2018年3月末退官)。
日本体力医学会理事。専門はスポーツ医学。
長年、運動による健康増進を研究し、35年間で5000名以上、3ヵ月で平均8㎏の減量をサポート。
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