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いつまでも元気に旅しよう!病に勝つカラダ 第19回

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夏のカビに要注意

大谷義夫先生
(文:大政智子 イラスト:安齋 肇)

夏でもカゼをひくとセキが出ます。
ただ、そのセキが2週間以上続く場合は、もしかしたらそのセキはカゼではなく、カビが原因かもしれません。
今月はカラダを蝕む、怖いカビのお話です。

夏の長引くセキはカビが原因かも気温や湿度が上がってくると、家の中にカビが増殖しやすくなります。実は、カビのなかには命に関わる肺炎をもたらすものがあり、夏にセキが長引くときには要注意です。

今月は夏のカビと肺炎について、池袋大谷クリニック院長の大谷義夫先生にお話を伺いました。

肺炎の心配があるカビはふたつあり、ひとつは主に腐食した木に増殖するトリコスポロンというカビで、台所や脱衣所、風呂場など水回りの木材や、絨毯を敷いた畳などに発生します。

非常に小さなカビで扇風機やエアコンを使うと部屋中に舞い散ります。空気と一緒に吸い込んで肺まで侵入し、アレルギー反応を起こすと、セキ、倦怠感、息切れ、動悸などの症状に悩まされる夏型過敏性肺炎を引き起こします。  

秋になってカビの繁殖が終わると症状は軽くなりますが、環境が変わらないと翌夏も発症します。繰り返して、慢性化すると肺線維症から呼吸不全となり、死に至ることもあります。

もうひとつは、糖尿病の人や抗がん剤治療中など、免疫力が低下している人に危険を及ぼすアスペルギルスというカビです。これは真菌の一種で、空気や土、ホコリなどありとあらゆるところにいます。

アスペルギルスは健康な人が吸い込んだ場合には、まったく心配ありません。基本的に、空気中や家の中にはたくさんのカビやウイルスがいます。健康であればこれらをシャットアウトする免疫力が備わっているので、それほど神経質になる必要はないのです。

ところが、免疫力が低下している場合は肺炎を引き起こします。ぜんそくのきっかけになることもあります。

持病などで免疫力が著しく低下している場合は、カビが急激に増殖する「急性肺アスペルギルス症」に陥り、呼吸不全に陥ることも。死亡率が約50%というこわいデータもあります。

持病がなくても、喫煙習慣のある人は呼吸器がダメージを受けていて感染リスクが高いですし、加齢とともに免疫力は低下します。

50〜60代以上になれば、若くて体力のある30〜40代に比べ、カビに対抗する力は落ちています。

高温・多湿の時期はカビが出ないよう、こまめに掃除しましょう。

こまめな掃除でカビを発生させない!カビ対策の基本は、エアコンの掃除を1〜2週間に一度行い、掃除機をこまめにかけることです。免疫力の低下している家族がいる場合は、高機能の空気清浄機をおすすめします。

夏場のエアコンはカビの温床となります。冷房を使うと内部に結露が起こり、空気中に含まれるカビが増殖しやすくなるからです。

エアコンに必ず排水用のホースがついているのは、内部に水がたまらないようにするためですが、それだけではカビ対策には不十分です。ときどき、送風やドライなどに切り替えて、エアコン内を乾燥させましょう。

もし、すでにエアコン内にカビがある場合は、アルコール液やカビの除菌液などを布などに含ませて拭き取ります。水拭きよりしっかり除菌できます。

トリコスポロンの場合、木造建材や家具にカビができると根を張るので完全には取り除けません。発見が早ければ、部分的に取り換えられますが、ひどい場合には改装や転居が必要なケースもあります。

木の家具や台所や脱衣所などの湿気の多い場所の木造部分は、水分をマメに拭き取り、カビができないようにしましょう。窓枠に木造部分がある場合は窓を開けて換気をよくして、湿気がこもらないようにします。

トリコスポロンは木造住居、とくに築20年以上の木造住宅に発生すると言われていますが、鉄筋コンクリートのマンションでも発生することがあります。鉄筋コンクリートでも築15〜20年以上で1〜3階など低層階の場合は湿度が高くなりやすく、トリコスポロンが増殖することがあります。5階以上のマンションでの症例報告は極めて稀なのでご安心ください。

もちろん、夏場の長引くセキのすべての原因がカビということではありません。セキが長続きするときには、原因を調べるために呼吸器内科を受診することをおすすめします。

おおたに よしお●池袋大谷クリニック院長。
群馬大学医学部卒業後、九段坂病院内科医長、東京医科歯科大学呼吸器内科医局長などを経て2009年にクリニック開院。
テレビ、ラジオ、新聞などメディアへの出演も多く、呼吸器、アレルギーの専門医として知られている。
著書に『疲れやすい、痩せにくいは呼吸が原因だった』(二見書房)など多数。

(ノジュール2018年7月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
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