いつまでも元気に旅しよう!病に勝つカラダ 第6回

いつまでも若々しく元気に活動したいし、旅行にも出かけたい。
そのために病気にならないカラダ作りを予防医学の観点から毎号お届けします。

ストレッチ枕のススメ

福辻鋭記先生
(文:大政智子 イラスト:安齋 肇)

首や肩がこった、背中や腰がこわばるなど、多くの人が、体のどこかにコリや痛みを抱えています。
実はそれ、日中とっている姿勢の〝偏り〟に原因があります。
ストレッチ枕を使って、ふだん動かしていない筋肉や骨を伸ばしましょう。毎日のちょっとしたケアでコリや痛み知らずの体に!
夜寝る前の関節回しを習慣に、関節の柔軟性を保って毎日を元気に過ごしましょう。

筋肉のこわばりは血行不良の元!本来、私たちは、前にかがむ、後ろにそらす、左右にひねる、横に曲げるなど、さまざまな方向に体を動かせるようになっています。

ところが、現代人は「前にかがむ」姿勢をとっている時間が長く、それによる弊害が増えています。その代表が「巻き肩」と呼ばれるもの。肩が通常よりも前に出ていて、猫背になっているような状態です。最近はスマホが原因と言われますが、デスクワークや立ち仕事、長時間の車の運転などで同じ姿勢をとり続けるのも、巻き肩の要因になります。

巻き肩だけではありません。筋肉や関節がかたまってしまって柔軟性が失われると、首や肩のコリ、腰痛などさまざまな不調をもたらします。

関節がかたまると体がスムーズに動かせなくなってケガのリスクが高まりますし、筋肉がかたまると血液の流れが滞りやすいので老廃物の排泄がスムーズにできなくなります。

それを防ぐためには、意識して前屈みとは反対方向の「後ろに反らす」姿勢をとればいいと、アスカ鍼灸治療院の福辻鋭記先生は言います。

かく言う福辻先生も、鍼灸治療では前屈みの姿勢をとることが多く、1日の施術が終わると背スジをぐっと伸ばして体を反らすストレッチを行い、1日にたまったコリや疲れをほぐしているそうです。また、夜寝る前に手軽にできるよう自身が考案したのが「ストレッチ枕」を使ったストレッチです。「ストレッチ枕」は背中などコリが気になる部位の下に入れて使う手作り枕で、バスタオル2枚とビニールひもがあれば、誰でも自宅で簡単に作ることができます(作り方は後述)。背中の下に入れて寝転ぶだけで全身の筋肉や関節が伸びてゆるみ、首や肩のコリがよくなる、腰の痛みが軽くなる、疲れにくくなる…など、さまざまな効果があります。日中使っていない筋肉や関節を動かすことで、関節の柔軟性が高まり、血行が促進されるのです。

コリ固まった筋肉や関節をもとの状態に戻すには専門家のケアが必要ですが、毎日こまめに自分でケアしていれば、その日にたまったコリや疲れはその日のうちに解消できます。

ストレッチ枕で
全身をリフレッシュ
まずはストレッチ枕を作ってみましょう。

ストレッチ枕の作り方

  1. バスタオル(大きさの目安は120㎝×60㎝)を2枚用意して、重ね合わせて広げる。
  2. 縦半分に折り、端からクルクルと巻いていく。たるまないようかために巻くのがポイント。
  3. 2をビニールひもで端から数回巻き付けていき、反対側の端までいったらかためにギュッと締め、巻き始めまで戻りながらさらに巻き付ける。巻き始めと巻き終わりを、外れないよう固結びにする。
  4. 直径が10〜15㎝になるくらいがちょうどよい高さ。背中に当てて寝転び、高すぎると感じた場合は薄いタオルに換えたり、タオルの枚数を減らしたりして高さ(直径)を調節する。

使い方は簡単です。コリや痛みが気になる部位の下に入れて寝転ぶだけで、筋肉や関節が伸びてゆるみます。

巻き肩の解消にはストレッチ枕を背骨に沿って縦に入れ、両腕は頭の上に伸ばして寝転びます。1回の使用時間の目安は5〜10分程度です。

痛みを感じたときには、ストレッチ枕の高さを低くするか、時間を短くして試してみてください。

首が痛いときにはストレッチ枕を首の下に横に入れて、同じようにして寝転びます。背中がこっているときは肩甲骨の下、腰がこっているときは腰の下、肋骨の下に入れると胸が開いて呼吸が楽になります。

ストレッチ枕をおなかの下に入れ、うつ伏せに寝転ぶと、腸が刺激されて動きがよくなり、全身の血行がよくなります。便秘改善にも効果的です。

ストレッチ枕を使うときの目安は「寝転んだときの心地よさ」です。体の気になる部位に当てて寝転ぶと、全身の筋肉や関節が伸びてゆるみます。とはいえ、気持ちいいからといってやりすぎは禁物。1回10分が目安です。寝転がっているだけでいい「ストレッチ枕」を試してみませんか。

ふくつじ としき●アスカ鍼灸治療院院長。
鍼灸師として30年以上のキャリアと10万人を超える治療実績があり、テレビ番組で『日本の名医50人』に選ばれたこともある。
美容鍼灸の草分け的存在で、女性誌や健康雑誌、テレビなどでも幅広く活躍中。
asuka-sinkyu.com/wp

(ノジュール2017年6月号からの抜粋です。購入希望の方はこちらをご覧ください。)
ご注文はこちら